夢の始まり
2013年4月1日
まだ少し肌寒い新潟の春。桜もチューリップも咲いてなく、季節感のない街並み。あの時の空も、白い雲で覆われていたのを鮮明に覚えています。
曇りにも関わらず、「今日は晴れて良かったな。」と、雨が降らないことに喜びを感じていました。
上京を決めたのは高校3年生の春。商業高校に通っていた私は、進路選択と真剣に向き合わなければなりませんでした。大学、専門、公務員、就職…。人生の分かれ道ともいえる選択に、私はすぐさま行動に出ました。
”私の夢は何だったっけ”
それまでの高校生活の中で、自分の夢と向き合ったことは一度もありませんでした。2年生の終わりごろ、就職先や大学が決まった先輩たちから、合格までの道のりを聞く時間がありました。
何故、就職を選択したのか、何故その大学にしたのか。どんな風に取り組んだのか。
話が終わると、一人で図書館に駆け込みました。そもそも世の中にある職業を知らなかったのです。職業が決まらなければ、進路が決まらない。そう思い、職業について書いてある本を手にしました。
しかし、自分が何したいのか分からない。
そんな時、「あなたはどんなことが好きなの?」と図書館の先生が問いかけてくれました。私は、とにかく学校行事が大好きでした。それは、高校だけではなく、小学校に入る前から好きだったと、今回の就活で気づきました。
みんなで話し合い、準備をして、アイデアを形にする。どんな日常よりも、イキイキして一体感が生まれる。そんな瞬間が大好きでした。
そんな想いを伝えると
「イベントプロデューサーが合うんじゃないかしら。」
このたった一言が、夢の始まりになりました。その時手にした本のコピーは、今でも大切に残しています。この時、イベントプロデューサーは、テレビ局の仕事の一部として紹介されていました。(一部省略しています。)
イベントプロデューサーとは、一言で言うと【なんでも屋】。仕事内容はとても地道で泥臭いけれども、とにかく楽しい。企画者には、幅広い知識と特定のジャンルのエキスパートが必要。できるだけ多くの人と話し、自分の知らない知識を得る。また、他の人が企画したイベントにも足を運び、そうやって吸収したことを自分のプランの糧にする。
まさに、今までの自分が好きだったことであり、とてもワクワクするものでした。まずは自分が、ワクワクしないと始まらない。とてもシンプルですが、大切な原動力。
私は、せっかくなら地元の良さを伝えたい、いつか東京で新潟の魅力を伝えるイベントを開くと決めました。
調べた結果、イベントプロデューサーになるためには、大学へ進学することが一番近いことを知り、大学に行くことに決めました。
無事、志望していた大学に合格し、上京することに。嬉しさとホッとした気持ちで涙が止まりませんでした。夢が大きく一歩近づいたと、嬉しくてたまりませんでした。
あの頃の気持ちは忘れません。
2013年4月1日
私にとって忘れられない日です。
新潟の魅力を伝えたいとは思っていたものの、”何もない”。東京に憧れていた私は、新潟の魅力を発見する際に、東京と比べて探していました。どうしても、東京の方が良く見えてしまいます。
しかし、東京に向かう新幹線の中で、私は運命の出会いをしました。この広告に出会ってから、見る視点が180度変わりました。
引用:【新潟県】「東京新潟物語」地元を想う、すべての人へ | 灯台もと暮らし
東京と新潟を結ぶ上越新幹線の中だけにある、吉乃川の広告。上京した新潟の人が、口を揃えて「あの広告いいよね」って共感する、素晴らしい広告です。
上越新幹線を利用した人なら、一度はこのシリーズの広告を目にしたのではないでしょうか。
人に思いを伝えたり、誰かを応援したりすることは、すべて広告なのだと思います。
風とロックなど復興支援をはじめ、多彩な活動をする箭内道彦さんの言葉です。
まさに私は広告を通して、背中を押され、頑張れよって言われたような、不思議な体験をしました。そして、何にもないと思っていた自分へ、気づきを与えてくれました。
「何もないんじゃない、自分が気づいていないだけ。見つけていないだ。ここからが始まりだと。」
今でもシリーズが続いていますが、この広告の魅力をまとめます。大きく分けて3つあります。(あくまで個人的な意見です)
1.コンセプトに基づいたストーリー性
2.ブランド価値ではなく、お酒そのももの良さや
お酒を飲んだ際に共感できるシーンを伝える
3.お酒が飲めない人にも共感できる
①コンセプトに基づいたストーリー性
⇒単発的な消費としての広告ではなく、吉乃川の資産となるような広告に。
引用:【新潟県】「東京新潟物語」地元を想う、すべての人へ | 灯台もと暮らし
引用:【新潟県】「東京新潟物語」地元を想う、すべての人へ | 灯台もと暮らし
引用:【新潟県】「東京新潟物語」地元を想う、すべての人へ | 灯台もと暮らし
引用:【新潟県】「東京新潟物語」地元を想う、すべての人へ | 灯台もと暮らし
引用:東京新潟物語 | 吉乃川 | 新潟長岡市にある日本酒の蔵元
2011年から続いていますが、”東京新潟物語”というコンセプトと、上京した女の子の物語という設定は守り続けています。物語なので、話が進んでいき、少女は女性になり、主婦になるというロマンチックな設定です。
四半期ペースで広告が作られているのですが、物語が進んでいくことで、続きが楽しみになっていきます。帰省の際についつい見つけてしまう、発見した際に嬉しさと安心感を覚える…。
上越新幹線の中でしか出会えないので、帰省の楽しみにもなりました。
②ブランド価値ではなく、お酒そのももの良さや共感できるシーンを伝える
⇒お酒を飲む人に共感してもらいやすい。
引用:【新潟県】「東京新潟物語」地元を想う、すべての人へ | 灯台もと暮らし
引用:【新潟県】「東京新潟物語」地元を想う、すべての人へ | 灯台もと暮らし
引用:【新潟県】「東京新潟物語」地元を想う、すべての人へ | 灯台もと暮らし
引用:【新潟県】「東京新潟物語」地元を想う、すべての人へ | 灯台もと暮らし
吉乃川を知らない人、飲んだことのない人でも、お酒を飲んだ時の心情を表現することによって、共感してもらえる。初めて父親とお酒を飲んだとき、失恋したとき、夫婦で飲んだとき…。
私はお酒飲めないので、必ずしもそうなのか分かりませんが、この広告を通して、誰とどこで何を目的に飲むかで、お酒の味も役目も変わると、感じました。
そんな様々なシーンを、共感できる言葉で伝えてくれる広告です。
③お酒が飲まない人にも共感できる
⇒新潟の人、地方から上京した人、女性目線の恋心。様々な立場の人の心情がそのまま表現
されている。
引用:【新潟県】「東京新潟物語」地元を想う、すべての人へ | 灯台もと暮らし
そもそも何故、東京が晴れた日は新潟は雪なのか。Twitterで分かりやすく書いてあったのでこちらを参考にしてみてください。
冬季日本海側の大雪メカニズム①:西高東低の冬型の気圧配置になると大陸上の寒気が日本海に吹き出します.寒気にとっては日本海は熱湯風呂状態で,大量の水蒸気と熱を供給されて積乱雲が発達します.これが本州日本海側に突っ込んで大雪をもたらします.特に山地では地形の影響で降雪量が増大します. pic.twitter.com/HhZoEuQgZX
— 荒木健太郎 (@arakencloud) 2017年1月12日
作家の川端康成の代表的な長編小説「雪国」の舞台も新潟。冒頭の「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった」の一説。まさに、東京から新潟に向かうあの長いトンネルです。
本当に、そんなに気候が違うの?と思う方もいらっしゃると思います。ここで、今週の天気を見てみましょう。この季節、まさにこの広告の通りの現象が起きています。
新潟とても寒いです。海風が冷たく刺さるように強く吹いています。上京してまず驚いたのが、快晴が続くこと。新潟は本当に太陽が出ないんです。東京に来てから、日々太陽の暖かさに嬉しさを感じます。
気分が多少下がっていても、よし。がんばろう。と思えるのも東京の良さと気づけました。
引用:【新潟県】「東京新潟物語」地元を想う、すべての人へ | 灯台もと暮らし
ここでは長岡花火とは書かれていませんが、新潟県民なら、きっと長岡花火なんだなと想像ができます。
引用:【新潟県】「東京新潟物語」地元を想う、すべての人へ | 灯台もと暮らし
引用:【新潟県】「東京新潟物語」地元を想う、すべての人へ | 灯台もと暮らし
これが一番伝えたいことでして。私はお酒が飲めません。しかし、たまたま出会った広告が伝えてくれたメッセージが、自分とリンクして自分ゴト化になりました。
何度も繰り返しになりますが、”東京新潟物語”というコンセプトとストーリーが大切に守られているからこそ、お酒を飲まない人にでも共感できる広告となっています。
お酒が飲めない人が
お酒の広告で人生が大きく変わる
この出会いに、本当に感謝しています。
この広告に出会ってから色々と調べました。また、新潟県人会にも足を運び、新潟の良さを沢山の大人から学ばせていただきました。
自分でもTwitterやFacebookを通して、発信して行きました。世間的に知られているものから、自分が帰省した時に見つけたいいなと思った場所。その結果、周りの人からは自然と、"伊藤真愛美=新潟愛の強い人"という人間に見られるようになりました。
そして、上京して半年が経ち、ひとつ大きな発見をしました。
日本三大花火の長岡花火
引用:【新潟県】「東京新潟物語」地元を想う、すべての人へ | 灯台もと暮らし
引用:東京新潟物語 | 吉乃川 | 新潟長岡市にある日本酒の蔵元
東京新潟物語でも2度登場する、新潟の夏の風物詩。新潟は米、酒、雪のイメージが強い中、花火という新しい魅力に気づけました。
ここから、私の夢の一歩が始まります。これまで夢物語だったものを現実のものにしていく。そんな挑戦でした。
長文になってしまったので、また続きは明日以降に書きたいと思います。昨夜、最終電車で新潟に帰って来ました。ホームを降り、改札口に向かうと、私の大好きな広告が出迎えてくれました。
2016年春のシリーズですね。どう角度を変えても、反射して撮れてしまうのがとても残念ですが、見つけた瞬間私をワクワクさせてくれました。やっぱり好きだなと。好きには嘘をつけませんね。
今回の帰省の目的は、免許取得です。免許を取ったら、今まで行けなかった新潟のスポットに行きたいと思います。まず真っ先に候補に挙がるのは、『里山十帖』。GOOD DESIGN AWARD 2014 にて BEST100 と、ものづくりデザイン賞を受賞した宿です。
引用:絶景露天風呂「里山十帖」 created by 自遊人 越後湯沢・大沢山温泉
正直、新潟にここまでお洒落な宿があるとは思ってもいませんでした。ここクオリティーはもちろん、この宿ができた時のストーリーも素敵だと思い、ぜひ足を運んでみたいなと思っています。里山十帖に込められた想いが下記のリンクに詰まっています。
今年始まったばかりですが、すでに空室がないという状況…。海外から宿目当てで来るお客様も多いそうです。残りわずかということなので、気になった方はぜひHP見てみてください。
新しい魅力に出会えるのが楽しみです。